大判例

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岡山地方裁判所 昭和28年(行)4号 判決

原告 多賀静而

被告 井原市長

一、主  文

原告の訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は、被告(井原市に合併前の岡山県小田郡稲倉村々長以下同じ)が昭和二十八年三月三十一日、原告所有の別紙物件目録記載の不動産に対し同月二十三日之を公売する旨定めた決定は之を取消す。との判決を求め、其の請求の原因として、被告は昭和二十八年三月十一日原告の昭和二十四年度分村民税、第一種事業税の滞納を理由として原告所有の前記物件を差押え、之が公売を昭和二十八年三月二十三日行う旨決定した。然し乍ら、右滞納処分の基礎となつている原告に対する昭和二十四年度分村民税、第一種事業税の賦課処分は次の理由によつて違法であり従つて右滞納処分も違法にして取消しを免れない。即ち昭和二十四年度村民税額、第一種事業税額は何れも昭和二十三、四年度の合計所得税額に対する比率によつて定めらるべきものであるところ被告が原告に於て滞納ありとした村民税及び第一種事業税は原告の昭和二十三、四年度合計所得税額を四百七十三万七千円として算出されたものである。ところが原告の右合計所得税額は二百七十万円に減額さるべきものとなつている。従つて原告の昭和二十三、四年度合計所得税額を四百七十三万七千円としてなされた被告の原告に対する昭和二十四年度分村民税、第一種事業税賦課処分は違法であり、ひいては右両税の滞納を理由とする差押処分及び本件公売の決定は違法である。而して原告は、前示昭和二十三、四年度合計所得税額が前記の如く減額さるべき旨の広島国税局長の証明書を呈示して被告に交渉したが被告は之を無視して公売を決行せんとしている状況であるから訴願に対する裁決を待つていることが出来ない。よつて行政事件訴訟特例法第二条但書により本件公売決定の取消を求めるものであると述べた。

被告(井原市長)訴訟代理人は主文第一項同旨の判決を求め、答弁として、原告は本件行政処分取消訴訟を提起するにつき行政事件訴訟特例法第二条本文所定の訴願に対する裁決を経ていないものであり、又、単に公売の期日が切迫している一事を以てしては同条但書にも該当しないから、本訴は不適法として却下を免れないと述べた。

三、理  由

旧地方税法第二十四条、地方税法附則第三項、行政事件訴訟特例法第二条本文の定むるところによれば、市町村税である市町村民税、道府県税である第一種事業税、の滞納に基く滞納処分に不服がある者は道府県知事に対して訴願をなし、その裁決を経た後でなければ裁判所に出訴することが出来ないことになつている。而して原告は本件公売決定の取消訴訟を提起するにつき前述の訴願裁決を経ていないことはその自認する所であり、しかも本件滞納処分においてその公売期日が切迫しているということを以て行政事件訴訟特例法第二条但書に該当すると主張するけれども右期日が切迫しておるという一事のみを以てしては同条但書に該当するものと謂うことが出来ないものと解する。してみると、原告の本訴は法の要求する訴願の手続を経ていないことにおいて、結局不適法な訴に帰着するものと謂わざるを得ない。

よつて、本訴は不適法として之を却下すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し主文のように判決する。

(裁判官 三関幸太郎 辻川利正 中原恒雄)

(別紙目録省略)

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